掲載日時 2017/02/23
株式会社バイオバンク(岡山県岡山市)は北海道薬科大学遺伝子解析学分野(北海道札幌市)の若命浩二准教授らの研究グループとの共同研究により、植物発酵エキス(OM-X)には免疫の調節や細胞を保護する作用がある可能性を示しました。
なお、本研究成果は2016年11月に「第23回日本未病システム学会学術総会」で発表、2017年1月20日に「Integrative Molecular Medicine」に掲載されました。
【本研究の概要】
株式会社バイオバンクは、野菜や果物、海藻、茸類などを発酵させたエキス(OM-X)を開発・製造しています。しかし、OM-Xのように多種類の原料を混合した健康食品の生体への機能性について、具体的に科学的根拠を示すことは難しいです。
そこで今回、株式会社バイオバンクはOM-Xの機能性とそのメカニズムを示すために、北海道薬科大学の若命浩二准教授らと共同で研究を行いました。
その結果、インビトロでの実験から、マウス由来マクロファージはOM-Xによって活性化されることが分かりました。またインビボでの実験から、マウスにOM-Xを与えることで肝臓での遺伝子発現に変化が起こり、炎症抑制や細胞保護効果を示すことが分かりました。
【研究の手順】
ラット由来下部消化管細胞の培養液にOM-Xを添加し、インスリンの分泌を促す働きをするホルモンであるGLP-1の生産量を測定しました。測定はELISA法で行いました。その結果、消化管細胞のGLP-1生産量は、OM-Xの添加量に比例して増加するということが分かりました(図1)。
また、マウス由来マクロファージ(RAW264.7細胞)の培養液にOM-Xを添加し、マクロファージの活発さの指標であるNO生産量や、免疫系を活性化させる働きをするサイトカイン(IL-6、TNF-α)の生産量を測定しました。その結果、OM-Xを添加することによって、NO生産量、サイトカイン生産量は共に増加したため、OM-Xは直接的にマクロファージを刺激し、免疫系を活性化させるということが分かりました(図2)。
更に、マウスにOM-Xを与え、肝臓の597遺伝子の発現量を測定しました。その結果、4遺伝子の発現量の増加と23遺伝子の発現量の減少が確認されました。発現量が減少した23遺伝子は炎症性やアポトーシス(細胞死)に関わる遺伝子であったため、この結果から、OM-Xを与えることで、肝臓の炎症を抑制する効果、細胞を保護する効果が得られるということが示されました(図3)。
Last updated 2024/03/29