論文発表



シトロバクターロデンティウム感染による腸炎マウスモデルにおける植物発酵エキス(OM-X)の治癒的特性の評価

掲載日時 2014/09/01

症例:腸炎 / 免疫 / 感染症

植物発酵エキスOM-Xが病原菌感染マウスにおいて腸管の炎症抑制および腸上皮細胞の回復効果を示しました

J Functional Foods. 10, 117-127 (2014)

Evaluation of therapeutic properties of fermented vegetables extract (OM-X) in the model of colitis induced by Citrobacter rodentium in mice

シトロバクターロデンティウム感染による腸炎マウスモデルにおける植物発酵エキス(OM-X)の治癒的特性の評価


フランスのリール大学との共同研究結果が、Journal of Functional Foods誌に掲載されました。


実験1

【目的】

マウス病原体であるCitrobacterrodentiumを感染させて腸炎モデルを作成し、OM-Xエキスを摂取させることによる抗炎症試験を行いました。

【方法】

OM-Xエキスによる抗炎症効果について調べるため、OM-X投与群および非投与群のマウスにCitrobacterrodentiumを感染させ腸炎モデルマウスを作成しました。投与期間終了後、腸炎スコアおよび炎症、抗炎症に関わる免疫の遺伝子発現を確認しました。

【結果】

OM-Xエキス投与群によって、病原菌感染後の炎症スコアが軽減される傾向にありました。

病原菌に感染すると過剰な免疫反応を引き起こし炎症が誘発されます。病原菌感染に対してOM-Xエキスを事前に投与することにより、抗炎症作用に重要な役割を果たすTreg細胞の指標であるFoxP3の発現が有意に増加しました。また、抗炎症サイトカインのIL-10の発現量も有意に増加しました。


実験2

【目的】

マウス病原体を感染させてリーキーガットモデルを作成し、OM-Xエキスを摂取させることによる腸上皮細胞の回復効果を検証しました。

方法】

マウスの腸上皮細胞を破壊しリーキーガットモデルを作成するため、Citrobacter rodentiumをマウスに経口投与しました。腸上皮細胞の状態を確認するため、タイトジャンクション関連遺伝子の発現、上皮細胞の染色による細胞増殖能を検証しました。

結果】

腸の細胞を接合しているタイトジャンクションに関連するZO-1およびZO-2タンパク質の遺伝子発現が、OM-Xエキス投与群において有意に増加しました。

また、病原菌感染時には細胞の増殖能を示す染色がほとんど認められないのに対し、OM-Xエキス投与群では多くの染色が確認されました。つまり、細胞破壊からの活発な細胞増殖が行われ、腸上皮細胞が回復していることが認められました。



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