掲載日時 2004/01/01
症例:抗菌性
Biocontrol Science. 9, 77-81 (2004)
Identification of 3-phenyllactic acid as a possible antibacterial substance produced by Enterococcus faecalis TH10.
Enterococcus faecalis TH10によって産生された抗菌活性を持つ可能性のある3-フェニル乳酸の同定
岡山大学農学部との共同研究の結果が、Biocontrol Science誌に掲載されました。
【目的】
テンペから分離されたE. faecalis TH10の培養液は、種々の病原菌に対して優れた抗菌活性を示します。そこで、抗菌活性に寄与している物質の同定と精製を試みました。
【方法】
E. faecalis TH10の培養上清を溶媒で抽出し、逆層HPLCクロマトグラフィーに共し、抗菌活性を示す画分を検討しました。さらに、抗菌性物質を同定するために、GC/MSクロマトグラフィー測定を行いました。
【結果】
HPLCにて培養上清を分画した結果、80%メタノール溶出画分にMRSAや大腸菌O-157などに対する高い抗菌活性が認められました。物質の同定結果、E.faecalis TH10が産生するのはフェニル乳酸であり、D-体:L-体=2:1の比率で産生していることも明らかになりました。D体とL体を同時に産生する乳酸菌の存在は知られていないため、E. faecalis TH10独自の特長であり、高い抗菌性に寄与していることが示唆されました。
Last updated 2024/01/23