掲載日時 1992/01/01
症例:乳酸菌分離・同定
Japanese Journal of Dairy and Food Science. 41 (1992)
Distribution and biochemical properties of lactic acid bacteria from traditional fermented foods in Southeast Asia.
東南アジア地域の伝統的発酵食品における乳酸菌の分布とその生化学的性質
実験1
東南アジア地域のアルコール飲料、副食食品および調味食品の合計16試料に由来する乳酸菌の分離と同定試験を行い、機能性乳酸菌を探索しました。
【方法】
16試料のpHおよび試料中の塩濃度を測定しました。また16試料からBCP加プレートカウント寒天培地およびMRS培地を用いて分離を行った結果、合計189菌株を選択しました。これら乳酸菌の同定試験を行いました。
【結果】
分離同定された乳酸菌189菌株を分類すると、Lactobacillus属が68菌株、Leuconostoc属が47菌株、Streptococcus属(現在のEnterococcus属を含む)が67菌株、Pediococcus属が7菌株でした。
さらに、分離乳酸菌の耐塩性、耐酸性、耐熱性、生酸性、タンパク質分解性、芳香生産性を調べました。総合的に判断した結果、タンパク質分解能力に非常に優れたEnterococcus faecalis TH10(テンペから分離された乳酸菌)を独自の乳酸菌として決定しました。
実験2
【目的】
OM-Xエキスの発酵に欠かせない能力であるタンパク質分解能力を検証するため、東南アジアの発酵食品から分離した乳酸菌株を用いてタンパク質分解性を検証しました。
【方法】
タンパク質分解能力の測定には、比色法を用いました。食塩を含まない脱脂乳培地に乳酸菌を播種し、24時間培養を行いました。各種処理を行った後にFolin試薬を混合し、青色の発色を分光光度計にて測定しました。指標として遊離チロシン量を定量しました。
【結果】
189種の分離菌株から46菌株を選定して実験に用いました。食塩を含まない脱脂乳培地において、タンパク質分解能力の最も強い菌株はテンペより分離されたEenterococcus faecalis TH10であり、遊離チロシン量は1.32 mg/5 mlでした。他の菌株は全て0.01〜0.2 mg /5 mlを示し、TH10乳酸菌は他の菌株と比較し6.25倍もの高いタンパク質分解能力を示すことが分かりました。
Last updated 2024/01/23